2020年春 ズバリこれから儲かるベトナムビジネス

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ベトナムの工場で働く女性

コロナショックによるベトナムの産業への影響具合

執筆時2020年4月はコロナショック真っ只中で外出禁止令が出ています。私は日本商品のセレクトショップを運営しているので、お客様が来ない今、全ての売上をオンライン販売に頼っています。スーパーやコンビニなどの生活必需品を除く小売店(高島屋などのデパート・ショッピングセンターも含む)は休業となっています。飲食店はデリバリーのみの営業となっていますが、デリバリーサービスサイト経由での販売は20%〜30%の手数料がかかるため利益率は低く、せめて人件費にでもなればということで運営されています。

旅行業は壊滅的な打撃を受けており、ホーチミン市内でも旅行者の多いベンタイン市場周辺にあった旅行会社は軒並み看板が外され、廃業の張り紙がされていました。一方、影響を受けていない産業もあります。食品・薬品・消費財は堅調です。食品、常備薬、シャンプーや洗剤はスーパー・薬局・コンビニで通常通り販売されるので全く影響を受けていません。そして意外な事に買い溜めはおこらず、必要な時に必要な分だけ消費されるので、物流の特別対応も不要です。ベトナムに限ったことではありませんが、東南アジアでは1回分づつ小分けにされたシャンプーが小売店で販売されています。日本人であれば旅行の時に便利と思うような代物なのですが、現地の人々は日常で利用しています。なぜかというとシャンプーボトル1本を買う現金が無いからです。統計はありませんが、一般的な国民の財布の中に入っている現金は1000円程度です。シャンプーのボトル1本は700円ほどしますのでこれを買ってしまうと食糧や医薬品を買うお金が無くなってしまいます。そのため、小分けにされたシャンプーが重宝されるのです。

ベトナムの自動車・電子機器産業への影響

ベトナムの自動車産業

その他の産業についても考えていきましょう。自動車産業ですが、いよいよベトナム国産社VINFAST(ビンファスト)を街中で見かけるようになりました。これはベトナム大手不動産ディベロッパーのビングループがコングロマリット化し、小売流通・航空・自動車へと進出した結果です。しかしながら、不動産以外の事業は全て赤字となっており、事業売却する形で撤退を決めているようです。ビンファストが撤退したら、誰が車のメンテナンスをするのでしょうか。輸入車は意外にもマツダが人気で、セダンやSUVが高級車として認知されて販売が伸びています。マツダはベトナムでの販売を全て現地の代理店に任せており、ベトナム人に合わせたブランディング・プロモーションをしているのが好調の理由です。これまでベトナムではトヨタ車が席巻していましたが、トヨタは日本の販売会社(例:広島トヨタ自動車販売)が直接進出しており、日本風のショールームを運営していますが、どうやらベトナム人購買層に価値訴求できていないように見えます。自動車よりも好調の電子機器産業ですが、サムスンの進出以降スマートフォン・タブレットの生産を拡大し、実は世界の10%以上の製造シェアを持っています。ちなみに中国のシェアが80%以上あり、部品の半分は中国に引き続き依存しているという状況です。そのためコロナショックにより中国からの部品が途絶えた工場は稼働停止も発生しており、こちらも引き続き厳しい状況となっています。

引き続き好調のベトナムIT産業

ベトナムのIT産業

ベトナムが国家として推進している産業といえばITですが、2000年以降日本・アメリカ・ヨーロッパからのソフトウェア開発アウトソーシング(通称オフショア開発)で成長してきました。最大手FPTソフトウェアの売上の半分は日本からのオフショア開発です。電子機器業界においてサムスンが生産拠点を中国からベトナムに移転していますが、IT業界においては日本が中国からベトナムへ生産拠点を移転した結果が出ています。しかし2015年頃からベトナムIT業界には2つの新しい流れが出てきます。1つはベトナム国内IT産業の成長です。ライドシェアのGrabオンラインショッピングのLAZADAなど、ベトナム国内向けサービスを開発・維持するためのITエンジニアが必要となり、オフショア開発から一部のエンジニアが移動していきました。もう1つの流れはITエンジニアの日本やアメリカへの就職です。ITエンジニアはオンライン上で作業して納品する仕事なので、どこにいても提供価値は変わらないのですが、現地の物価感での給与体系になってしまうという問題があります。ベトナムで月収10万円の仕事は日本では30万円、アメリカでは50万円という具合に差が出てしまいます。またGoogleやMicrosoftをはじめ世界のIT企業がベトナム人ITエンジニアを高く評価するようになってきたという事情もあり、ベトナム人ITエンジニアの海外就職は増加の一途を辿っています。

 

ここまでがベトナムに住んでいる日本人の私から見える2020年初頭のベトナム産業概観ですが、では、ズバリこれから儲かるビジネス領域はどこなのか考えていきます。

これから儲かるベトナムビジネス3選

中国からベトナムへの生産拠点移転支援

ベトナムの製造工場

中国とベトナムの両方に工場を持つ会社に勤める友人に聞いた話ですが、どうしてもベトナムでは作れない物があるそうです。それは手先の器用さでも、機材の処理能力でもなく、人が考える力です。友人にとっては、これこそが”技術”だといいます。例えば、納期が決まっていて作業員に限りがある場合どうするか考える力。慣れていない作業員を増員しても品質が悪くなる、慣れている作業員に残業をさせても品質が悪くなります。この状況下でどのようなアイデアを出して納期と品質を達成するかが技術です。中国は世界のサプライチェーンの根底を支えており、その生産能力次第で中間業者や小売店が倒産してしまいます。そのため生産拠点のベトナム移転は大きな決断になるのです。これを支援できるのは中国のエンジニアであるのは間違いないのですが、日系企業においては日本人も間に入って中国・ベトナム両国の間を取り持つのが良いのではないかと思っています。つまり「中国のエンジニアとベトナムのエンジニアでうまくやってね」というのはあまりに勝手すぎると思うからです。しかしながら、中国依存を続けていた日本企業に中国とベトナムの文化の違いを理解して(言語はさすがに通訳でも構いません)間を取り持てるスーパーマンはほとんどいません。そこで生産拠点移転支援を行うサービスがあれば需要があるのは間違いないです。

人材的には製造業出身より、ITやコンサルティング業界の出身者の方が向いています。現場に任せておくと作業の移管だけが進んでしまい「そもそもこの工程は何のためにやっているのか」が理解されずに進んでしまいます。理解されないとその工程はベトナムで省略されていきます。この工程があるから後の工程の不合格率が減っていたのかもしれません。具体的な例にするとわかりやすいのですが、作業管理の一覧表に、担当者が○をつけて、責任者が再チェックして○をつけるという工程があったとします。この作業の重要性が伝えられなかった場合、どちらかの○が省略されてしまう可能性があります。むしろ作業の効率化をしたような気持ちになってしまうからです。これを「いや、おかしいな」と思えるのが日本人の特徴だと私は思っています。そこで中国側に作業の意図を確認し、ベトナム側に意図を伝え実行してもらう、これこそが日本人の仕事なのではないかと思います。

とはいえ、製造業コンサルティングというのはそう簡単ではなく、まずはそれを取り巻く業種がこの分野に徐々に参入するのが良いのではないかと考えます。まずは人材紹介会社が日本から人材を斡旋する際に生産拠点移転の魅力を伝える事です。従来、製造業の日本人社員は生産工程や品質の管理を担当していましたが、若い人材にはあまり人気のある職種ではありませんでした。20代には圧倒的にサービス業やIT業が人気です。それは20代の人材がデジタル化された業務スキルを付けることが今後生き抜く上で重要だと考えており、一見アナログワークが多そうに見える製造業を避ける傾向にあるからだと思います。しかしながら、中国の最新の生産拠点は実はかなりレベルが高いらしく、少し話を聞いただけでも我々の知っている町工場とは次元が違うことがわかります。ITエンジニアやコンサルタント経験者にとっては、このノウハウを習得できることは今後世界で活躍するために必ず役に立つと思います。この事実を人材紹介会社が理解できるかが鍵になります。

日本の食品加工工場のベトナム展開

ベトナムの食品加工工場

自動車や電子機器製造のベトナム参入が難しいことをこれまで述べてきました。ただ全ての製造にチャンスが無いわけではありません。食品加工業には大きな可能性があると感じています。私は日本とベトナムを頻繁に往復していたので、多くの日本の物をお土産としてベトナムに持ち帰り、同僚に配っていました。あるとき、日本らしい物をプレゼントしようと思い、手拭い、ちょうちん、徳利などをプレゼントしたことがありますが、全く喜ばれませんでした。またある時は、焼酎や日本酒を飲み会で振る舞いましたが、酒好きの同僚しか喜びませんでした。そんな中圧倒的に人気なものを見つけてしまいます。東京ばな奈、萩の月などのケーキタイプのお土産用菓子が大人気だったのです。ベトナム人は我先にもらうというのを恥じますので最初は無反応ですが、事務所の棚の上に置いておくと、私が離れた途端15分もしないうちにお菓子は全て無くなっています。

私はダイエットサプリメントの販売もやっていますので、セミナー等でサンプルの試食をお願いすることがありますが、ほとんどのベトナム人参加者は怖がって口にしません。理由としては、何が入っているかわからないので怖いと言うのです。そしてセミナー終盤に、日本からお土産として持ってきた東京ばな奈を配りました。すると参加者全員がすごい勢いでバクバクと東京ばな奈を頬張るのです。これには私も笑ってしまいました。ダイエットサプリメントに対してはものすごい警戒心を抱く反面、美味しそうなお菓子には何が入っているかなど全く気にしないのです。私が想像するに、今のベトナムではお菓子や甘い物においては日本の商品はとてつもなく美味しそうに見えるのだと思います。我々日本人であれば、うなぎの蒲焼や炭火の焼き鳥を見るとなんとも言えない食欲が湧いてきますが、そんな感情なのかと思っています。

そして東京ばな奈など人気のお菓子は日本在住ベトナム人のベトナム帰国の際などに大量にベトナムに持ち込まれ(これをハンドキャリーと呼びます)ハンドキャリーショップにて日本価格の倍近い価格で販売されています。そのため、ベトナムの食品輸入業者は日本の製菓メーカーと取引したいと考えており、私の知り合いの会社も常にそのチャンスを狙っています。これだけ売れるのであればベトナムに工場を作って儲ければ良いのではないかと思いますが、海外進出経験の無いメーカーが日本の事業も大変な中、遠いベトナム進出に人材と費用を割けるかというとそれもなかなか難しいのです。特に人材については厳しい状況です。前述の製造業とも同じですが、他業種の海外に挑戦戦したい若い人材をスカウトして推進するしかないのです。

一般の人たちを使ったマーケティング

ベトナムの一般女性

今世界ではインフルエンサーやKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる有名人とSNSを絡ませたマーケティング手法がブームとなっていますが、ベトナムを含む東南アジア地域においては費用対効果が低いと言われています。つまり、認知度を高めるため(=ブランディング)には有効であるが、購入には繋がっていないという状態です。KOLに100万円支払ってマーケティングを依頼したものの、1個も売れなかったという話もあります。これはなぜかというと、現地の友人曰く「売りつけられている気がする」からだそうです。インフルエンサーやKOLは企業からお金をもらっていて、自分が愛用しているわけでは無いのに最高の商品だと言っている、ということが意識されてしまっているのです。日本人もそんなことは百も承知なのですが、何度も見ているうちに試したくなってくるものです。その感覚が東南アジアは少し違うようなのです。このギャップを理解している日本人は非常に少ないと思います。それでは、インフルエンサーやKOLの代わりに誰を使ったら良いかというと、普通の人です。学校の先生、企業のマネージャー、主婦、女子大学生、こういう普通の人たちがお金をもらうわけでもなく、自然に良いと思って発信するマーケティングに勝機があると考えます。自然な発信なので、商品を顔の横に持って綺麗な写真をFacebookに投稿するのではなく、友人とお茶をする中で「この商品良かったのよ」と紹介する感覚です。

ベトナムでは、大家族の絆が強く、3親等、4親等が与える影響がとても大きいです。例えば叔母が姪に大学進学費用を工面するということが当たり前のように行われています。故に、叔母が使っている化粧品を姪に進めたり、姪がみつけたサプリメントを叔母にプレゼントしたりすることが普通に行われているのです。20代前半の女性に影響を与えるのは有名人ではなく叔母なのです。ここであえて叔母・姪を強調するのは、叔母が母親よりも若く(年の離れた姉妹)姉に近い存在ということを想定しています。次女・三女であれば長女を参考にすれば良いですが今のベトナム10代は2人っ子世代なので姉がいる人はそう多くはありません。しかし親の世代は6人兄弟7人兄弟は当たり前だったので、お姉さんのような叔母はいっぱいいるのです。

この大家族の絆は、商品の購入に限らず、大学進学や就職にも大きく影響します。現在ハノイやホーチミンでは大学進学率は非常に高いですが、私立大学の学費は年間30万円〜80万円かかります。これは日本の私立大学と変わりません。そうなると核家族平均月収5万円〜15万円の両親のみで学費を負担するのは難しく、大家族が支援しなければなりません。幸い大量にいる叔父叔母の中には事業や不動産投資で成功している人が少なからずおり、その人が支援をするのが定石になっています。話は逸れますが、日本人男性が若いベトナム人女性と結婚するケースは非常に増えています。恋愛中はベトナム人彼女は日本人彼氏にとって大変可愛く、生活から仕事のサポートまで本当に尽くしてくれます。しかしながら、結婚が近づいてくると徐々に大家族を紹介されて、甥や姪の学費や叔父や叔母の医療費の相談をされるようになるのです。日本人として十分な収入を持った男がベトナム人家族に婿入りするということは、ベトナム人大家族を支援するという契約にもなるということです。

話をマーケティングに戻しますが、新しい物を流行らせていくためにはWEBメディアを見るような若い世代のみを攻めるのではなく、大家族の中にいる力を持った人(例えばビジネスが成功している中小企業社長の奥様など)に浸透させていく必要があります。そしてそこから大家族や友人に広めていくというアプローチです。これこそが一般の人たちを使ったマーケティングであり、そして手法もあまり確立されていません。ここを攻略することで、日本の商品が流れていく突破口になると信じています。私もここには注力していきたいと考えており、マーケティングに詳しくベトナムビジネスに興味のある方とはぜひ連携させていただきたいと思っています。

まとめ

  1. 中国からベトナムへの生産拠点移転支援
  2. 日本の食品加工工場のベトナム展開
  3. 一般の人たちを使ったマーケティング

本当に何が儲かるのか熟考した結果、簡単にできないものばかりになってしまいました。日本のアイドル、美白化粧品、寿司が絶対売れる!というような簡単なものはありません。本当に儲かる可能性のある領域というのは、とても深いところにあります。それは、長年積み重ねてきた技術であったり、複数の国のギャップを乗り越えた何かであったり、現地の国の文化を深く理解したものであったりします。幸い、現時点では外国人が事業参入するハードルは下がっています。現地のパートナーと一緒にやることができます。しかし、現地のパートナー任せではなく、我々日本人が考えてリードをしていく必要があります。これをやり切ったあかつきには間違いなく成功が見えるのではないかと確信しています。

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